今年で45年目を迎える本校の伝統行事「長寿記念品贈呈式」が、「敬老の日」(9月20日)を前にした平成22年9月17日午前、体育館で行われました。満75歳以上の生徒の祖父母、曾祖父母を対象として、長寿のお祝いとして記念品を贈呈しました。今年は男性359人、女性401人の計760人に贈られ、過去最高となりました。
本校では、高齢者に対する敬愛の念を生徒一人一人に持ってもらおうと、「敬老の日」が制定された昭和39年(1964年)の翌年から同行事を続けていて、伝統行事として定着しています。生徒は事前に、敬老の日に寄せた作文を書くなどして、同行事を通じて、祖父母や身近にいる高齢者に対しての思いを新たにしています。
記念品は長寿祝いの湯飲み茶碗で、生徒が受け取り、敬老の日で満75歳以上を迎える生徒の祖父母、曾祖父母に「おめでとう」などの言葉とともに手渡されることになっています。
式では初めに、学年代表者による作文の朗読がありました。英数コース1年の上之浦加奈さん(鹿大付属中)=代読同コース1年、野添史央里さん(鹿大付属中)=、普通コース2年岩下加奈さん(城西中)、英数コース3年の木村茉里子さん(伊敷台中)が、それぞれ祖父母への思いの籠もった文章を切々と朗読しました。
続いて時任保彦校長から、生徒を代表して普通コース2年の浜田志保さん(喜入中)へ記念品が手渡されました。浜田さんの曾祖父母、前山智重さん(南九州市在住)は104歳で、今回対象者となった方の中で最高齢でした。
記念品を手渡す時任保彦校長と普通コース2年の浜田志保さん(喜入中) |
時任校長はお祝いのことばの中で、自分自身の祖父母の話や、敬老の日の制定の由来などに触れた後、「敬老の日をきっかけとして高齢者を尊敬する気持ちを持って欲しい。尊敬とは高齢者を優しく、大事にすることでもあるが、高齢者から学んでほしい」と強く生徒に訴えました。今の豊かな世の中を苦労して作り上げてきた高齢者から学べることがたくさんあるということを、自分の経験を踏まえて述べました。
式の締めくくりに、商業科2年の下田平真沙さん(市来中)がお礼のことばとして、「学校の暖かい心づくしに感謝し、さっそく祖父母に記念品を届けたいと思います。これからもお年寄りを大切にしていきます」と力強く述べていました。
大隅半島の南大隅町で小さな店をしている祖父母が大好きでしたが、今年、突然、祖父が倒れました。祖父に対して何もしてあげられないのが悔しかったのですが、治療によって痛みが和らぎ、笑顔を見せる祖父から多くを学びました。将来、人を笑顔にして、勇気を与えるような仕事に就きたいと思うようになりました。
教師で弓道をしていた祖父が倒れました。5歳の冬休み、見舞いに行くと祖父は「弓道が生きがいだった。加奈も一生懸命取り組めて、生きがいと思えるものと出会えるといいね」と話してくれました。祖父が旅立ってから12年、今の自分にはまだ「生きがい」と思えるものはありませんが、出会えるといいなとおもっています。
受験生となった今年の夏、暑くてふと窓の外を見ると、子供達が汗だくで遊ぶ姿があり、田舎で祖父母と過ごした夏を思い出しました。高校生になってから会う機会も減り、大好きだった母方の祖父も亡くなりました。まだ元気で暮らしている三人の祖父母の事を改めて考え、自分にできる恩返しとして、私が就職して得たお金で一緒に旅行に行くことが夢になりました。その時まで元気で暮らしてもらえることが願いです。